
ベガハウス 幸野成一
南九州の民家は、居住用のオモテと、台所にあるナカエが独立した分棟型が基本でした。やがてオモテとナカエの二棟が接近し、屋根の庇が接近し、その間に樋を通し、その下に板張りの間(樋の間)ができました。
この、オモテとナカエの間に出来た樋の間が、「テノマ」と呼ばれる空間です。このテノマは二棟の建物が一つになってゆく過程で出来た空間であり、もともと居住空間と台所が一体で作られている他の地域の民家にはない空間です。現に、その後の南九州の民家には、このテノマという空間は存在していません。
この、オモテとナカエの二棟が連結し、樋の間「テノマ」がある建物は、二ツ屋民家と呼ばれています。「テノマ」はもともと居住用のオモテと、台所であるナカエが別々であったこの地域では、画期的な事であったと思われます。この「テノマ」は用途の違うものを繋ぐとき、違和感を緩和するための、装置だったと考えられます。



玄関から入ってすぐ左手にある和室と玄関との高低差やテノマとウッドデッキ、テノマと勝手口との高低差は、腰掛けて靴を脱ぐのにちょうどいい高さ。「立ち話もなんやっで、ちょっち座りやんせ。」ご近所さんとのおしゃべりも、ついついはずみます。

限られた予算のなかで、質の高い住み心地のよい家を実現するために…。そうして行きついたのが、本当に必要なものだけを選び抜いて設計する「大きく暮らす、小さな家。」でした。暮らしに合った設計、体に優しい自然素材、地熱エネルギーで自然な温度を保つ「ジオパワーシステム」の24時間換気システム等の設備、飽きのこない優れたデザインなど。“大きく暮らす小さな家”は、“大きさではなく住みごこちにお金をかけた、質が高くコンパクトな家”と同じ意味を持ちます。 豪華ではないけれど、長く愛し続けられる“質(クオリティー)”と“素(シンプルさ)”を持つ家。家族の一人ひとりが心地よく過ごすための工夫がいっぱいです。

