金山蔵-物語ある建築-

梅雨に入り、草木がいっそう緑を増してきましたね。今伸びなくていつ伸びるんだといわんばかりの濃い緑に、雨がしとしと降る風景はとても心が落ち着きます。これも自然の揺らぎ?リズムがあるからなのでしょうか。火の揺らぎに似た、そこでただただぼーっとしている感覚を覚えます。

先日お休みを利用して、串木野の金山蔵に行ってきました。鹿児島歴7年目にして、初の金山蔵。坑洞まで入らせていただきとても良い経験をすることができました。こういった歴史ある場所が整備され、大事に維持していることがなにより素晴らしいな、思いました。

また、博物館や美術館さながらの、この金山蔵そのものの見せ方も個人的には好きでした。黒に着色された杉と漆喰かべの対比、その先にある昼下がりのお庭。視覚の後には、嗅覚へ訴えかける酒蔵らしい華やかな甘い発酵の香り。そして、外部の明るいお庭から一転して、歴史を肌でひしひしと感じる暗く奥深い坑洞。この一連の流れは物語を感じずにはいられませんでした。

特に坑洞では発見もできました。ごつごつした岩肌に囲まれた空間で、窓はない、暗い、圧迫感さえも感じる場所にも関わらず、澄んだ空気と静けさはなぜか心が落ち着きます。混じりっけなしの自然の環境は、初見で驚きはあっても、ざわざわした気持ちにはならないようです。人間の人間たるはやはり自然を取り入れた生活をすることのようです。いずれにせよ金山蔵での良い学びの機会でした!

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