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L字型の平屋住宅のメリット・デメリット! どんな間取り? 活用法も知りたい!

コンパクトで快適な暮らしを叶える住空間かつ、プライベートガーデンがあって自然と一体感があるなど、平屋住宅のなかでもいま注目されているのが「L字型の平屋」。

平屋の基本形には「L字型」以外にも、「I字型・コの字型・ロの字型・連棟型」などがありますが、今回は「L字型の平屋」のメリット・デメリット、間取りの有効な活用法などをご紹介します。さて、L字型の平屋に向いている人はどのような人でしょうか。

L字型の平屋ってどんなお家?

L字型の平屋とは、お庭をアルファベットの「L字型」の建物で囲んだ形の平屋のお家のこと。

L字型の住宅は、その形だけで外観から一般的な住宅とはちょっと違った雰囲気になったり、一部の壁を大きな窓にするとたちまち開放感が出たり、見た目の印象を大胆に演出できます。それから周辺環境にもよりますが、

周りの目がダイレクトに届かないプライベート感のある中庭をつくることも可能です。

とくに、近年コンパクトで暮らしやすいお家を求める方々に人気の平屋なら、キッチンとダイニング、お庭につながりや広がりが感じられる空間や、ウッドデッキなどで半屋外空間をつくりやすいのもポイント! ワンフロアだからこそ家族同士のコミュニケーションが図りやすく、一体感のある家づくりを実現できます。

L字型の平屋の形が分かる動画はこちら

「普通とはちょっと違ったお家がいい」と考えている人なら外観のデザインにこだわるのも◎。アイデア次第で、斬新な建築になるのがL字型の平屋の魅力と言えますね。

続いて、L字型住宅のメリットについてご紹介しましょう。

L字型住宅のメリットとは?

・変形地でも柔軟に対応できる

L字型住宅の最大のメリットは、変形地にも対応しやすい点です。変形地とは、例えば三角形だったり、道路に接している出入り口の部分が細長くて、その奥にまとまった敷地がある形状の旗竿地(はたざおち)だったり…。こういった土地に正方形や長方形の建物を建てようとすると、土地を有効に活用するのが難しいのですが、L字型住宅なら頂角に向かって長辺を伸ばすことで、土地を最大限に活用できる可能性が高まります。

・プライベート空間を取りやすい

一般的な平屋の場合、プライベートな空間を分けにくいとされていますが、L字型住宅にするとLの字の縦と横のエリア別に空間をわけられるのもポイント!縦のエリアに寝室や書斎などのプライベートな空間、横のエリアにリビングやダイニング、キッチンなどの人が集まるスーペスと、ゾーン分けしやすいのがL字型住宅の特長と言えます。

こういった特長からお家にゲスト訪れることが多い人ほど、L字型住宅がおすすめ。急な来客の際にも、掃除や片付けが効率的にできます! 友人や親戚を招いてホームパーティを楽しみたいなら、L字型のお家はメリットがいっぱいです。

また、後述の「上手な間取りの活用法」でも触れますが、

L字型住宅なら“お家自体を目隠し”に利用して、プライベートガーデンを設けることができます。

つまり、敷地に接する道路沿いにお庭を持ってくるのではなく、道路からは家の外観が見えるようにして、お家の“内側”に中庭をつくる、ということ。

ただし、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)などの理由で、L字型の住宅を建てることが難しい場合もあるので要注意!

L字型住宅のデメリットとは?

・間取りの自由度が低い

L字型住宅のデメリットは、部屋の間取りの自由度が低いところ。通常、部屋の間取りを決めるときには、それぞれの家族構成やライフスタイルに合わせて部屋数や、部屋の広さを決定します。しかしながら、L字型住宅の間取りは“廊下などの動線”を確保すると部屋の大きさ、配置などがかなり限定されてしまいます。

とはいえ、

最近はなるべく廊下をつくらず、スペースを有効活用した間取りがトレンド。

実際、廊下以外の方法で空間を仕切る、家族の居場所を確保する設計上の工夫はたくさんあります。ここは、あなたが依頼する設計者の腕次第、というところでしょうか。

「自由度が低い=デメリット」と考えるか否かはその人次第かもしれませんね。

・メンテナンスコストが高くなる!?

それよりもチェックしておきたいのは、完成後のメンテナンスコストが高くなる可能性がある点。一般的に複雑な形の建築ほど、メンテナンスコストは上がります。とくに角にあたる入隅の部分は弱くなりがちなので、補強をすることで強度を補う必要も。

また、L字型住宅は四角いシンプルなお家に比べると凹凸が多く、建築コストも高くなる傾向があります。さらに、凹凸の多いL字型住宅は、大きな地震が発生した際に一カ所にエネルギーが集中してしまうリスクも。設計時に耐震性に関して特別な配慮が必要になります。

地震の多い日本では、大きな地震が発生するたびに耐震基準が見直され、現在の建物は1981年以降に採用された新耐震基準に合わせられています。この基準は震度6程度の地震にも耐えられるようになっていますが、耐震性については万全を期しておきたいですね。

L字型住宅の上手な間取りの活用法

さまざまなメリット・デメリットのあるL字型住宅。では、代表的な間取りの活用法とはどのようなものでしょうか。

・開放感のある中庭を手に入れよう

もっとも一般的なのが、中庭をつくること。「中庭のあるお家がいい!」という思いからL字型住宅を選ぶ方もいるほどです。L字型の平屋では、コの字型の平屋よりも広い中庭を設けることが可能。敷地内においての建物の場所や、周辺の環境にもよりますが、ほどよく外からの視線を遮りながら、開放感のある広々とした中庭が叶えられます。

また、中庭があると室内と屋外、それぞれの空間の距離が近くなるので、屋外の空間が暮らしになじみやすいのも魅力。

子どもがいる家族だったら、中庭を遊び場にしても室内からも目が届きやすくて安心です。

それからテーブルやイスを用意して、休日にブランチをしたり、バーベキューをしたりするのも楽しみ方のひとつ。

プライベートガーデンをセカンドリビングとして上手に活用する

ことで、室内の間取りの自由度が低くて部屋数を増やせないというデメリットも克服できます。

視点をガラリと変えれば、中庭をつくることで自然と一体化した一家の団らんの場をキープしつつ、そのかわりにリビングをややコンパクトにして、必要に応じて部屋数を増やすこともできますね。

・ビルドインガレージで駐車スペースを確保

中庭のほかにも活用法としてイチオシなのが、

スキップフロアを組み合わせてビルドインガレージををつくること。

限られた土地にお家を建てるため、駐車場がつくれない場合もあります。

そういうときは、L字型住宅の内側部分を駐車スペースとして有効に活用することも可能です。車庫をつくることで土地を最大限に活用し、さらに車庫上にスキップフロアで居住空間を確保することもできます。スキップフロアなら、プライベート空間を確保しにくいという平屋のデメリットもカバーできますね。

まとめ・L字型の平屋に向いている人とは?

最後に、どのような人がL字型の平屋での暮らしに向いているか考えてみました。

お家の中央に中庭をつくることができるL字型住宅は、風通しがよく、室内に明るい光をたっぷりと取り込んだ気持ちのいい空間になります。プライベートガーデンによって、2階建て住宅よりさらに自然が身近に感じられるのもL字型の平屋ならではの特長です。

ガーデニングをしたり、屋外の空間を自由に楽しんだりしたい人にこそ、L字型住宅の平屋がおすすめ!

平屋の場合は、水平移動の空間だからこそ生活動線がコンパクトになったり、ワンフロアだからこそ家族間のコミュニケーションが濃密になったり、快適性と幸せな暮らしが同時に叶えられるお家と言えるでしょう。効率的なミニマムな暮らしと、家族同士の関わりが深い暮らし。一見相反するようなふたつの暮らしを求める、ちょっと欲張りな人にこそ、平屋のL字型住宅が向いているかもしれません。

いかがでしたか?今回ご紹介した内容が、あなたにぴったりなL字型の平屋づくりの参考になれば幸いです。

工務店スタッフが影響を受けた建築バイブル本12冊【家づくりの参考に】

家づくりを真剣に考えよう!そう思い立ったときに、「webではなくて、じっくり本を読みたいな」という方も多いのではないでしょうか?そんなとき、次にぶつかる壁が

「似たような本がたくさんあって、どれを読んだらいいのか分からない……」

というところだと思います。

そこでこの記事では、日々、家づくりに向き合う弊社スタッフが「影響を受けた・勉強になった」本=「建築バイブル」をご紹介します。きっとあなたの疑問に答える本が見つかるはずです。

1冊目:「高性能&デザイン&豊かな暮らし」の3拍子を実現しよう!

『あたらしい家づくりの教科書』

著/前 真之、岩前 篤、松尾 和也、今泉 太爾、森 みわ、竹内 昌義、伊礼 智、水上 修一、三浦 祐成
編/伊藤 菜衣子

「一番手はわたくし織田です。

おすすめ本は『あたらしい家づくりの教科書』ポイントは“あたらしい”です!

・一軒家は寒いよね。
・デザイン重視はかっこいいけど、快適さは二の次?
・高性能を重視したいから、かっこ良さは諦める?
・予算がないから高性能は諦める?

ひと昔前なら、そうだったかもです。でも今は諦める必要はないのです。というより、どちらも大切なんです!……という事がイラストや写真付きで分かりやすく書いてあります。

チャプターを紹介すると

CHAPTER1_高性能な家づくりに大切なこと

CHAPTER2_美しく、かっこいい家をつくろう

CHAPTER3_みんなが幸せになる家をつくろう

”美しい&高性能&豊かな暮らし”の3拍子揃った家づくりができるよ~という具合です。

デザインと技術が同じ方向を向いて、タッグを組んで取り組んできたからこそ、3拍子揃った家づくりができる時代になったんだろうと思います。良いデザインのために技術が進化する。進化した技術を使って新しいデザインが生まれる。昔からの手法を現代に採用する為にデザインと技術の両方が進化する。

デザインと技術が足並み揃えるって、ちょっと嬉しいなと思いながらいつも読んでます。皆さんも参考にして、3拍子揃った家づくりしましょう!」

2冊目:あなたに必要な“キッチン”はなんですか?

『暮らしを楽しむキッチンのつくり方』

著/阿部 勤、安立悦子

「毎日のことだから、心弾む場所がいいなぁ。食べることが好きな私は、ついつい台所が気になっちゃう。

家づくりを考えていると、こだわりたい場所もたくさんあると思いますが……

台所とその周りの関係性が分かりやすく解説されています。実際に住んでいる方々の暮らしぶりも踏まえて、いろいろな間取り、台所のバリエーションを紹介してくれている本です。使いやすい収納や高さなど、結構たくさん載っています!

暮らし方、使い方、敷地の場所、光、道具……。家をつくる人それぞれに、必要なキッチンは違うと思います。人が大勢集まるキッチンだったり、キッチンは隠したいタイプだったり。庭で育てた野菜をすぐ調理できる場所にしたい!だったり。

家族がずっと、使いながら育てていく場所だから、大切にしたいなと思います。そして、ぜひこの本のあとがきも読んでほしい。」

3冊目:“家相”、気にする派?気にしない派?

『家相の科学 -建築家が発見したその真理-』

著/清家清

「家づくりをしていると、「家相」という言葉を聞くことがあると思います。

そもそも家相とは、古代中国生まれた占いの一種。占いというと少し、怪しさがありますが、ただ、科学的に根拠のないことばかり言っているわけではありません。

ちゃんと建築計画学的、工学的な根拠も盛り込まれているのです!

また、家相は間取りだけではなく、環境、敷地、構造なども含めて、考えられたものです。

全ての項目を、現代の家づくりで反映するのは難しいと思いますが、家相の考え方を学ぶことで、より良い住み心地を探究できるのではないかと考えています!

本を読むことが少し苦手な私でも、楽しく、納得しながら読めた本なので、オススメさせていただきました!」

4冊目:ことばで紐解く、建築のあり方とは

『-建築家 吉村順三のことば100-建築は詩』

監修/永橋 爲成
編/吉村順三建築展実行委員会

「建築家の吉村順三が存命中に残した言葉をまとめた本です。

この本は、絵ではなく言葉で都市空間、建築空間、住宅空間の捉え方、考え方をまとめています。いい建築を造ろうと志す人ならば、かなりグッとくる言葉ばかりです。

目に見えているものだけでなく、その奥にある物事の考え方を教えてくれる本です。建物写真を見るのも飽きてきたな、という方におすすめです。」

5冊目:子を思う気持ちを、素材に込めて

『子どもに安心して住める家を残したい』

著/小林 康雄

「一生に一度の家づくり。あなたは何にこだわりますか?

土地?会社?値段?間取り?構造?性能?広さ?

できれば全部優れたのがいい!それが理想ではあるのですが、家づくりのタイミングやコスト面を考えても、なかなか現実的ではありませんよね……。

私は何か“特別な”こだわりを持つことをお薦めしています。それは良い家を建てるためでもありますが、家づくりを楽しくするためでもあります。

ちなみに私の特別なこだわりは素材。中でも、一般的に自然素材と呼ばれているものが好きです。すべてにおいていいわけではありません。お金がかかるし、経年変化も必ず伴います。

しかし、自然素材でできた家は居心地がいい。気分も良くなる。安心できる。

そんな自然素材の家をつくっている工務店の代表・小林 康雄さんが書いているのが『子どもに安心して住める家を残したい』です。

自然素材でできた家の良さを学べるのはもちろん、小林さん自身の自然素材へのこだわりに面白さを感じます。機械に頼って簡単にできるものではない、人の手の大切さ。その面白さを、この本を通じて感じていただきたいです。」

6冊目:基本を知ると、家づくりが楽しくなる!

『住まいの解剖図鑑-心地よい住宅を設計する仕組み-』

著/増田 奏

「私からのオススメは『住まいの解剖図鑑』です。

住宅設計を勉強し始めた学生や、実務を始めたばかりの若手、これからマイホームを建てようとする方など幅広い人たちに向けて、住まいづくりの基本を分かりやすく解説。住まいづくりの考え方から始まり、それぞれの部屋の作り方で気をつけておきたいことなどがイラストと共に説明されています。

「家の作り方はプロに任せておけば良いのでは?」

そう思われる方もいらっしゃるでしょう。もちろん、私達も最善を尽くします。ですが、これからご自宅を建てようとする方々も、住まいづくりの基本だけでも知っておいて損はありません。

普段の暮らしの中で心地良いな、これは使い勝手が良いなということに気づいたり、住まいへのいろいろな「ああしたい、こうしたい」を取捨選択する手助けになったりもします。」

7冊目:調べものラビリンスに迷い込んだあなたへ

『住まいの思考図鑑-豊かな暮らしと心地いい間取りの仕組み-』

著/佐川 旭

「あれも欲しいこれも欲しい
もっと欲しいもっともっと欲しい
あれもしたいこれもしたい
もっとしたいもっともっとしたい

と、家づくりを考え始めた際に、両手じゃ抱えきれない家族の夢があふれ出し、ブルーハーツになってしまう方は少なくないのではないでしょうか……。

あれもこれも、と理想は大きくなるばかり。でも、あれもこれもというのは、現実問題叶えられない……。

良いと思っていたけれど、色々調べていくうちにマイナスな面が見えてきて、、、でも、、やっぱりしたい……。プラスな面もあるのよっっっ、、、!でも、、、なんて、思考が

ぐるぐるぐるぐるぐるぐる。

ぐるぐるぐるぐるぐるぐる。

何がいいのかわからない!!あーーー疲れた。。。もうやーめたっ!

なんてなる前に、いや、なっている方にも、ぜひ読んでいただきたいのが『住まいの思考図鑑』です。

そもそも家ってなに?わたしにとっての心地よさ?暮らしに合うってどういうこと?

迷いに迷える思考をこの本を読んでリセットしてみませんか?イラストがたくさんで読みやすくわかりやすい、というのもオススメポイントです〇」

8冊目:建築について子ども向けに書かれた異色絵本

『-くうねるところにすむところ 01子どもたちに伝えたい家の本-家ってなんだろう』

著/益子 義弘

「私が紹介したい家づくりの本は、建築家の益子義弘さんが書いた『家ってなんだろう』です。

35冊ほどあるシリーズの1冊。このシリーズは、子どもの目線で家について書いてあります。なので、家づくりを考え始めた方や、子どもたちとお家についてお話をするときには、とても参考にあんる本(絵本)です。

本の中では、益子さん自身の家づくりや、住んだ経験などのお話も書いてありますので、経験談も非常に参考になります。

文字や絵でとても分かりやすくまとめられた本なので、お家のことを考え始めたばかりの方にオススメです。」

9冊目:作り手と住まい手で完成させる理想の住宅

『建築を気持ちで考える』

著/堀部 安嗣

「私自身も見返すことがある大切な1冊です。堀部安嗣氏は住宅や店舗などを中心に活動している建築家です。

設計をする上で堀部氏は何を大事にして、どう考えたのかという筋道が、この本には細かく書いてあります。住宅の設計で、どこが「勘所」なのか、そこを考えさせてくれる本です。

私たちも家づくりをするときには、「このご家族だったらこういう生活があるから、ここ重要だよね」という筋道を立てます。作り手と住まい手で話し合い、この筋道をしっかりと共有できたときには、お家づくりの8割が完了したといっても過言ではありません。

作り手と住まい手がONE TEAMとなれるような家づくりを目指して、私も努力を続けていきたいです。」

10冊目:知っていて損はない「よい住宅」の12箇条とは?

『住宅読本』

著/中村好文

「建築家の中村好文さんの著書『住宅読本』です。中村さんは建築家でありながらたくさんの本を書いているのですが、その中で私はこの1冊をオススメします。

“よい住宅”とは……中村さんが考える“よい住宅”の12の条件(風景・居心地・遊び心・手ざわり・あかり、などなど)について中村さんの実際の実例写真&かわいいイラストで分かりやすく説明しています。

家づくりをする上で間取りや設備、予算など考えることはたくさんありますが、それら以外に心に留めたい豊かな暮らしをつくる為の大事な条件が書かれています。

“住宅を考えるとは暮らしを考えること”と知っている人と知らない人の家づくりには大きく差が出るかもしれません。ぜひ、この1冊を手に取ってから家づくりを始めてみてくださいね。」

11冊目:日本の“美意識”から、家づくりを考える

『陰翳礼讃』

文/谷崎 潤一郎
写真/大川 裕弘

「私、日置からは『陰翳礼讃』をご紹介。読み方は『いんえいらいさん』。私の解釈は『影の良さを再び評価しよう』というところです。

初版が1933年(昭和8年)で、電気も住宅に普及していた時代。部屋全体を煌々と照らす照明(部屋の天井を見てください。皆さんがよく目にする天井についている照明です)は、部屋の隅々まで均一に照らされて快適です。しかし、影はどこにもありません。

江戸時代には、ろうそくなどを必要なところに必要な分だけ灯して生活していました。それは技術がなかったからだけでなく、ろうそくの揺らぎ、月のあかり、樹木の影、障子の影などに風流を見出していたから。日本人が古来から大切にしてきたものです。

この『陰翳礼讃』は、いろいろな形で出版されていますが、私は2018年に出版された『陰翳礼讃ビジュアル本』を推します。綺麗な写真がたくさん入っていますので、楽しく読み進められると思います。

日本の美意識を再認識すると、家づくりの取り組みかたも、変わってくるかもしれませんね。」

12冊目:家づくりへの熱量を取り戻したいなら……

『普通の住宅、普通の別荘』

著/中村好文

「僕が家づくり、設計、ものづくりを『生業にしていこう』と思ったきっかけがこの本です。

いつでも建築は好きでした。学校の設計課題も好きでした。でも、その設計課題はどこか空虚でした。そんな学生だった僕の、頭の隅っこにぼんやりとあった「建築を仕事にするんだろうな」という思いを『これだよ、これ!これしかない!』と、ど真ん中に呼び出してもらった。

そしてそれ以降、この本の作者である中村好文さんに魅せられて、中村好文さんに弟子入りしたくて、好文さんの建築を見に行ってはその場所で手紙を書き、しつこいくらいに手紙を書き、あるときは千葉の美術館の窓際で、あるときは奈良のレストランのテーブルで、またあるときは長野で、京都で、静岡で、東京で、愛媛で、全国津々浦々、好文さんの建築の情報が入れば、その場所を訪れて手紙をせっせとしたためました。

それだけの行動を起こさせる魅力が、この本にはあります。家や暮らしの味わい方、楽しみ方が、いつ読んでも古びれず、好文さんの視点とユーモアで書かれていて、今でもこの本をぱらぱらと開けば、初めて手にしたときの

『これだよ、これ!これしかない!』

という気持ちに戻れます。どんな時代の人たち(好文さんの言葉を借りれば市井の人たち)も関心を持てる家のあれこれが描かれている、普遍的な本、僕からするとそんな本です。内容に関しては、ぜひ読んでみてください。

– 補足 –

この場は本の紹介なので、しつこい手紙がその後どうなったのか、顛末の気になる方がいらっしゃいましたら、どうぞ谷まで。」


……というわけで、正統派から変化球まで、スタッフによる建築バイブルの紹介でした!あなたの琴線に触れる本がありましたか?

家づくりは、「何から始めたらいいか分からない」という声がよく届きます。本は、その取っ掛かりとしてはとても参考になるかなと思います。

お読みになったら、ぜひご感想も聞かせてくださいね!

ベガ弁!-スタッフたちの弁当No.1争奪戦-20.03

男性・女性問わず、キッチンに立つべし!料理しない人が、どうしてキッチンのご提案ができようか!というわけで「ベガ弁!」、今月もはじめます!

「ベガ弁!」とは?

月に一度、スタッフが弁当を持ち寄って、誰の弁当がNo.1かを競う、それが「ベガ弁!」です。毎月テーマを設けて、「テーマに合っているか」「彩りはきれいか」「栄養のバランスは」などの観点から総合No.1を決めます。審査員は、現役ママでもある弊社のスーパーパート隊3名です。辛口です。

今回のテーマは「イタリアン」

前回の「中華料理」につづき、今回も属性しばりです!ただ、「イタリア料理」ではなく「イタリアン」というのがミソ。

“イタリア料理っぽい”味付け、盛り付けなども良しとします。でないと皆、パスタばっかりになっちゃうので!

お弁当発表!

今回は15名がエントリー!トップバッターはこの人!

……ん?
…………んん?
テクニカルの植田さん、これお弁当?

「そうですよ」

…………んんん〜〜〜?いや、アウトじゃね?

中身は……やっぱピザだよね!生地から手作りのピザらしいのですが。めちゃめちゃうまそうなのですが。

デリバリー感がすごい。

これ、どうなんかなぁ?
最近、ある人物の悪影響で、“弁当箱を飛び出す”人がちらほら。次のディレクター上大川さんも……

カッティングボード乗ってるし!
デートでピクニックとかに持ってくやつじゃんコレ!カワイイんじゃけどねぇ。

弊社はキッチンがあるので、それを利用するのは構わないんですが、“お弁当箱にどう盛り付けるか?”も大事なポイントなので、そこは守っていただきたいですね(ガチダメ出し)。

ちなみに上大川さんの直属の上司であるプランナー長田さんはこんな感じ!特製バーニャカウダです!ちゃんとお弁当箱に収めてます。

「ランチなんで、バーニャカウダソースはにんにく抜きで仕上げたんスよ」

乙女や〜ん。素晴らしい気遣いですね!

いや食べるときは盛り付けるんかい!
美味しそうだけど、お弁当だからね!

さ、どんどん行きましょう!次はベテランチームのお弁当を3つ。まずはアフター担当坂元さん!

指宿出身ということで、そら豆づくしです!ブルスケッタまで作ってるなんて!いつもより彩りもキレイですごい!と思いました。もしかすると、もしかする?

いやいや、経理の福迫さんのほうがすごかった!なすミートにタコのマリネに鶏のソテーに、デザートまで!今日は運動会か?と思うくらいの豪華さです!さすがや!

設計の小斎平さんのお弁当、まさかのペンネ&白ごはん!炭水化物&炭水化物!

「いや、イタリアンって難しいよ〜」

そうなんですよねぇ。なんか、お弁当として“映える”料理があんまりないんですよ、イタリアン。僕もめっちゃ悩みました。最終的に行き着いたのがコレです。

パニーニonカリメロです!パニーニはイタリアのホットサンド。そして

カリメロはイタリアのアニメ

なんです!知ってました?カリメロの黒を表現するために、あえてパンの表面を焦がしています。あ・え・て・ですよ!ちょっとやり過ぎた感ありますけど。

このままミドルチーム行きましょう、設計織田さんは和伊折衷!ケチャップライスにハムとチーズとピーマンをトッピングしたピザ風おにぎり!

食べるときはコンソメスープをかけてライススープ風に。洒落とります!

テクニカル垣本さんはジェノベーゼにカプレーゼ、白身魚のムニエルをぎゅぎゅっと詰め込んだお弁当。

……真ん中のは、にんじんシリシリ?……じゃないですよね!きっと何かのイタリアンのはず!

続いてテクニカル石亀さん。まぁ〜毎回言ってますがキッチリしとる!美しい弁当です。撮影のときに偶然スーパーパート隊も居合わせたのですが、そのキッチリさに感嘆の声を漏らしておりました。

ここからは20代の若手チーム!テクニカル日置さんは今回からお弁当箱をチェンジ!品数も彩りも増やして挑戦です。というのも前回、

「青い弁当箱は食欲がなくなるからイヤ」

というダメ出しを食らったからでして……。さぁ、リベンジなるか!?

ところでみなさん、お気づきでしょうか?今回はテーマがイタリアンということで、赤、白、緑というイタリアの国旗のカラーリングを意識している人が結構いますよね!

その最たる例がこの白澤さんのお弁当!ダブル国旗ですよ!……白澤さん、右の弁当箱の、白の部分てなに?

「大根ですよ」

大根!?めちゃめちゃ和だね!というか右の弁当箱、ほぼ素材じゃん!

さて、ね。残るは前回優勝のディレクター清水さんと、唯一の2回優勝、設計 赤崎さんなんですが……。その前に問題児が残ってるのでそれをチャッと済ませますか。

プランナーの谷さん!!

……何してんの?お弁当忘れたわけ?

「いや、ちゃんと用意してきましたよ、材料を」

料理してきなさいよ!……で、何それ?

なんかの生地?あ、分かった!残念、谷さんカブってるよ!ピザでしょ?

「ふふふ、違います。」

丸棒(どっから持ってきたんだ)で伸ばして、切って……うどん?

「いやいや 笑、イタリアンって言ってるじゃないですか」

なんかむかつく。

で、なんなのよ。

「この麺を湯がいて、卵を落として」

チキンラーメン?

「違います。」

チーズをふりかければ……

「カルボナーラの完成です!うまそうでしょ?」

うん、うまそうかどうかは問題じゃないんだ。次行くね?

「え」

さぁ、前回優勝、ディレクター清水さん!ジェノベーゼとミートソースのショートパスタを両脇に、真ん中はレモンチキンステーキ!レモンちゅうのが憎いよねぇ。ボリューミーだけど爽やかなお弁当です。

そして、two times champion!設計 赤崎さん。メインは今回唯一のライスコロッケ!そしてミニトマトのカプレーゼに自家製トマトソースのチキンステーキと抜かりありません!スキがないんですよねぇ〜。

さぁ、15人のお弁当が出揃ったところで、いよいよ審査と参りましょう!

いざ、審査!

まずは社長賞!

「コレ!」と指さしたのは……

福迫さんのお弁当!
理由は「品数に加えて、デザートまで用意していたのはこのお弁当だけだったから」とのこと!心配り、大事ですね!

そして、スーパーパート隊のOさん、Nさん、Sさんによる処刑 審査が始まります!

「そら豆の皮、むいてないですね、このまま食べるの?」

「油たれてますね。生地はもうちょっと焼き色つけてほしかったな〜」

「こうやって写真で並べてみると、“立体感”って大事ですよね。なんかこう、グァー!と迫ってくる感じというか」

「平たいよりも、膨らみがあるほうが、写真にしたときにバシッときますよね」

……え、今お弁当の話してます?

皆のレベルが上ってるのもあるんですが、もはや要求が料理の話じゃありません(泣)そんな中、ちょっと和んだ瞬間がこちら。

「日置さん、生ハムでバラ作ってる〜!カワイイ!」

日置さんのビジュアルを知らない人がほとんどだと思うので補足しておくと、めちゃめちゃカラダの大きな人が細かな作業しているのがカワイイ!ということです。

日置さんってどんな人?と思いました?『モンスターズ・インク』のサリーを思い出してください。あんな感じです。

そんなわけで個人賞の発表と参りましょう!

Sさん賞、日置さん!

Oさん賞、Nさん賞、なんと私、塚本!うっっわ、まじか。個人賞を2人からもらうって、総合優勝にかなり近くないですか?

最終選考に残ったのは(谷さんのを省いた)中央の4つ。ここから、3人の意見がなかなか合わず、選考は難航します。

どうなる私のカリメロ……(ドキドキ)。

「……決まりませんね」

「そうですねぇ」

「…………」

「ここは思い切って、1番食べたいお弁当にしましょう!」

「あ、じゃ焦げてるのは無理♡」

ズッッッコーン!!まじかよ!

いきなりカリメロの首、ハネやがった!

さっきまでかわいーおいしそー言ってたやん!

というわけで、最終的に決まったのは清水さんのお弁当!なんと、前回に引き続き連続優勝です!

放送席放送席、総合優勝した清水さんに一言いただきたいと思います!

「トマトがシワシワになっちゃってたので、そこを切られるんじゃないかと心配してました 笑」

あぁ、しみちゃんは前々回の「凶悪ピースサイン事件」の被害者ですからね。心中お察しします。

「実は、さり気なくイタリアンカラーでまとめていたので、そこが今回のポイントですね」

ほんとだ!ジェノベーゼが緑、レモンチキンステーキが白、ミートソースが赤だったのね。さすがはうちのシティボーイ!

というわけで、第6回大会は清水さんの連続優勝で幕を閉じました!

次回は4月、新年度ということで、「初めて挑戦する料理」=「初飯」をテーマに、お花見しながら開催予定!

お楽しみにー!

アフター定期訪問「ベガイク」-家族が自然と集まる場所を-20.3.1

3月1日、日曜日。あいにくの雨模様。新型コロナウイルスの影響でしょうか?心なしか行き交う車も少なく感じました。お施主さま、そしてこのブログを読んでくださっている皆さまの健康を切に祈るばかりです。

さて、毎月第一日曜日はアフター定期訪問「ベガイク」の日。「ベガイク」は、8ヶ月おきにお施主さま邸を拝見させていただいて、家の状態を確認したり、メンテナンス方法をお伝えしながら、ともに家を育てる、ベガハウスの活動です。

この記事では、お施主さまから「暮らしの所感」をお聞きしています。ここが良くて、ここに困っている、という率直なご意見です。

日置市東市来町_Kさま邸

「祖父母が隣に住んでいるので、何かと助けられました」

築12年のKさま邸。ご夫婦と2人の子どもの4人暮らしです。お子さまはそれぞれ、14歳になる男の子と10歳の女の子。

目の前を小川が流れる素敵な立地。ここはご主人の実家の隣で、もともと曽祖父の家が建っていた場所なんだそう。

「子どもが小さいときには、祖父母の家で遊んでもらったり、夏休みなどは、共働きだったのでとても助かりました」

ただ、周りを田んぼに囲まれた静かな場所。公共交通機関も近くにないので、お兄ちゃんは今、少し退屈そうとのことでした。

「暮らしの中心が1階に集まっていて、とても便利です」

Kさま邸は、LDKを中心に水回りなどがコンパクトにまとまっています。不要な廊下やスペースがなく、掃除も簡単だそう。

「収納が欲しいと思ったことはありません。キッチンも、子ども室も、リビングも、必要十分なだけの収納があったので。あとは少しの工夫で生活できていますよ。」

家族はみんな、リビングに集まります。フルオープンできる開口からは、表を流れる川を眺められる、居心地の良い空間です。子どもたちはリビングテーブルやキッチンカウンターで宿題をして、ご主人は新聞を読んだりテレビを見てリラックス。

リビングには小上がりの畳スペースが隣接しています。お子さんが小さい頃は、ここで昼寝させたりしていたんだそう。大きくなった今では、学校に行く前の準備や、塾・部活の道具をここで整理するんだとか。

「キッチンから目の届く範囲で子どもも過ごしてくれるので、子育てには良かったなと思います」

〈これから家づくりをされる方へ〉

「ごはんを作る人が、その環境を決めたほうがいいと思います。使いやすさや家事動線など、自分で『ごはん作るぞ!』と毎日スイッチを入れられるように。私の場合は対面キッチンと、キッチン裏のパントリー。これは採用してよかったなと思ってます。」

「あとはアフターサービスですね。うちのように10年を過ぎても8ヶ月おきに定期点検に来てくれて、台風や大雨のときにも連絡をくれる。何かあったときに頼れるのは、安心感がありますよ」

昨年の大雨のときの写真。そのときの状況を教えてくださいました。大変なときにこそ寄り添える、そんな工務店でありたいと常々思っていますが、Kさまの言葉で報われたようで、とても嬉しい瞬間でした。

日置市東市来町_Mさま邸

「人をお招きできる家になって、よかった」

築14年のMさま邸。2人の息子さんがいらっしゃいますが、20歳で大学生のお兄ちゃんは県外へ、14歳の弟さんも中学校の寮に暮らしているとのことで、今は夫婦2人暮らしです。

家づくりは、お兄ちゃんが小学校1年生のとき。弟さんが生まれて、そのときお住まいだったアパートが手狭になったことがきっかけでした。

「人をお招きできる家になって、よかったなと思います」

と奥さま。

ご夫婦それぞれの両親はもちろん、奥さまのご友人がふらっと訪ねてきて、リビングでお茶を楽しむことも多かったそうです。息子さんがお住まいだったときには、息子さんのお友だちが宿泊することもありました。

Mさま邸に人が集まる。その訳は、間取りにあるように感じます。玄関を抜けるとLDK。そこに繋がる、二間続きの和室。手前は、リビングを拡張する客間。奥は寝室として使われています。

「リビングにソファを置きたくなくて。小上がりの和室があれば、そこに腰掛けることもできて居場所ができるでしょ。それに、小上がりにすることでホコリが和室に上がっていかないんです。」

この小上がり和室、不思議な吸引力があります。息子さんのお友だちが遊びに来ても、子ども室に行くのではなく、自然と小上がりに座ってリビングで遊び始めるんだとか。

ご夫婦の居場所ももっぱらリビング。

「主人は書斎もあるのに、ね」

と奥さまは笑います。

フローリング主体ではなく、和室のある重心の低い暮らし。日本人に馴染み深い間取りが、「人を寄せる家」を生み出している。そんな気がしました。

広いお庭ができたこともアパートにはない魅力。お子さまとキャッチボールを楽しんだり、バーベキューをしたり。暮らしの楽しみが増えました。

「収納は、もう少し考えておけばよかったかな」

収納は、「いまひとつ」な部分があるそう。

ひとつは、大型家電の仕舞う場所。クローゼットの下段にはうまく入らず、今は上段に仕舞っているそうですが、将来に不安があります。もう一つは床下収納。湿気が溜まりやすいこと、高さに制限があることから仕舞うものを選ぶので、使い切れていないということでした。

〈これから家づくりをされる方へ〉

「敷地の全てを“家”として考えてくれる会社さんにお願いされるのをおすすめします。お家はキレイでもお庭は更地だったり、街の風景に馴染んでいない家を見ると、もったいないなぁと思うので」

敷地に対して、住宅を建てられる面積は約50%。残りの半分をどう計画するかは、暮らしてからの満足度に影響しそうですね。

「あと、設計士さんの意見にはしっかり耳を傾けましょう 笑。太陽の動きを考えての窓の配置とか、玄関の広さとか、住んでから『あぁ、いいね』と思うことが沢山ありました。私たちでは考えつかなかったことです。」

お子さまが大きくなって、2階の子ども室で勉強するようになったとき。キッチンの一部を吹き抜けにすることで、2階の気配が伝わったり、声を掛け合ったりできることが、奥さまの安心につながったといいます。年月を重ねることで見えてくる設計の工夫。これも、私たちが大切にしたいことのひとつです。