令和時代に選びたい4種のエアコン!あなたに最適なのはどれ?

暑い夏、寒い冬に活躍してくれるエアコン。ひとくちにエアコンと言っても種類や設置方法が多様化しているのをご存知ですか? 

家を新築するにあたって空調計画は電気代に直結します。しかも初期投資にもお金がかかるので、住み始めたあとで気軽に買い替えられるものではありません。そこで、新築検討中の方必読の「読んで得する!」エアコン4種について解説します。

令和時代のエアコンはこの4種類! それぞれの特徴をご紹介

毎年新製品が発表されるエアコンですが、今回ご紹介するのは各メーカーのおすすめ製品ではなく、エアコンの種類について。種類や使用方法、コストパフォーマンス、施工にあたっての注意点など、大手ハウスメーカーでも教えてくれないエアコンのことをお話しましょう。

部屋ごとに設置できる「個別エアコン」のメリットとデメリット

いま賃貸マンションや戸建てにお住いの方のほとんどが「個別エアコン」を使用されているのではないでしょうか? 個別エアコンとは、ひと部屋ごとに壁掛けタイプのエアコンを設置する一般的な方法のこと。

最大のメリットは、各部屋を好みの温度に設定できることです。いくら同じ家族とはいえ、暑がりの人もいれば寒がりの人もいますから、部屋ごとに最適な温度に調節できるのは快適ですよね。

デメリットはトイレや廊下、脱衣室など部屋以外のスペースが暑かったり、寒かったりする点。

部屋から廊下に出たら急に、モワッと蒸し暑くて一気に汗が出たり、冬場に脱衣室でガクガク震えながら着替えたり

したことがある人も少なくないでしょう。また、個別エアコンは部屋数分の室内機と室外機が必要になるので、見栄えの問題や室外機を置くスペースの問題、音の問題などもあります(室外機がお隣と近くて騒音トラブルに発展!などという話もあります)。エアコンの数が多いと、掃除の手間もその分多くなりますね。

暖房効果抜群の「床下エアコン」のメリットとデメリット

生活感溢れる写真ですみません……弊社スタッフの自宅です。

床下エアコンとは、通常の壁掛けタイプのエアコンを

頭上ではなく、床下付近に設置すること。

主に暖房使用時に効果を発揮する方法です。

床下エアコンは、床下に暖気を送り込んで、床下から家全体を暖房することができるんです。つまり、全部屋をエアコン一台のみで暖房できるということ。

そのため、冬に足が氷のように冷えたり、トイレの寒さにドン引きしたりすることがなくなります。もう、これは冷え性の味方ですね。それから、床下に暖気を送るので、エアコンの風が直接人にあたらないのも◎。

自然の風に吹かれるのは心地いいものですが、エアコンの風って直に当たると妙に不快感がありますよね。でも床下エアコンならそれがないんです。

しかし、デメリットもあります。それはエアコンをつけっぱなしにするので、家の規模や性能にもよりますが、正直なところ電気代が心配。それから、効果的に利用するためには、

間取りの選択肢があまりありません。

(基本的に、真四角の二階建ての吹き抜け付きのおうちでないと効果がイマイチ…)。

さらに、夏場の冷房にはあまり効果がない、という残念な情報もお伝えしておきます。まあ、温かい空気は自然と上昇しますが、冷気は上がっていかないので仕方ないですね。さらに、夏場に床下エアコンを使用すると、基礎が結露してカビが発生する原因にもなりかねません。

ですので、夏場の対策は、別で行うというのがベターでしょう。例えば、「小屋裏エアコン」という方法。小屋裏にエアコンを設置して、夏場、冷気を家全体に広げる方法で、床下エアコンの反対のやり方ですね。そうすると冬は床下から、夏は小屋裏からと2台のエアコンで1年の空調を快適にまかなうことができます。

床下エアコンの進化版!?「階間エアコン」のメリットとデメリット

階間と書いて“かいかん”と読みます。階間エアコンは、実は床下エアコンの進化版とも言われている方法なんです。どういったものかと言うと、

2階の床と1階の天井の間に、エアコンの風を流し込む方法

…なのですが、イメージしにくいと思うので、この図をご覧ください。

まず、1階天井と2階床の間には、配線や配管が通っていたり、梁が渡っていたりする空間があります。そこ(階間)にエアコンの風を送り込んで、ここから家全体に冷気や暖気を届ける、というのが階間エアコンのシステムです。

メリットは、低コストで全館空調が実現できる点。全館空調システムよりメンテナンスコストもお手ごろです。また、床下エアコンと違って冷房効果も期待できます!

しかしながら、送風用のファンの風圧が高いので、人によっては冷暖房の風が直接体に当たったときに不快に感じるかもしれません。あとは床下エアコン同様、効果的に利用するためには間取りに制限があります(当然ですが、平屋には設置できません)。

新しい空調方式のため、いまのところ対応できる工務店が少なく、

工務店選びが難航する

可能もあります。さらに言うと、実績が少ないため、例えば階間の断熱の欠損や補強不足でカビが発生するなどの想定外の不具合が出てくることも考えられます。 

究極の快適性!しかし……「全館空調」のメリットとデメリット

全館空調は家全体の温度を調整するシステム。これまでご紹介した3つは、一般的なエアコンを使用した「方法」でしたが、全館空調は専用の設備を導入する「システム」です。

メリットは、家の中のすべてが快適温度だというところ。

トイレも廊下も洗面所も、24時間365日、一定の温度が保たれる。

この世のパラダイスです。ノンストレス!そもそも、前述の床下エアコンも階間エアコンも、この全館空調をローコストで実現するために生まれた方法なんです。なので

・エアコンの不快な風が当たらない
・間取りも自由
・エアコン1台のみで室内も室外もスッキリ

といいことづくめ。

ですが、大きなデメリットがありまして……。それは導入費用が高額であること。メーカーにもよりますが、100~200万円はかかります。となると各部屋にエアコンを1台ずつ設置するより高くなりますし、故障時にかかる費用も心配です。メーカーでしか修理の対応ができない場合も多く、それは修理費も高額になるってものです。

全館空調のポイントは動画でも短めに解説しています↓↓

エアコン4種の初期費用とランニングコストを解説!

4種類のエアコンをご紹介したところで、気になるのは費用面ですよね。夏も冬も快適で、設置費用もランニングコストも格安!というものがあればベストですが、そうは問屋が卸さない…。

ということで、自分の暮らし、ライフスタイルに最適なバランスのいいものをセレクトするのがベターですね。では、それぞれの初期費用とランニングコストについて解説していきましょう!

一軒に平均3~5台設置する「個別エアコン」の初期費用とランニングコスト

個別エアコンの設置にかかる費用と言えば、エアコン本体。6~10畳用の場合、1台10~15万円が相場でしょうか。それに部屋数を掛けたものが初期費用。

LDK、寝室、和室、子ども部屋で約40万

というところでしょうか。

これにランニングコストが加わります。新築の場合、現在のお住いより気密性・断熱性が向上することを前提としても、部屋数や家の面積も増えることが多いので、電気代が劇的に安くなる!とは言えないでしょう。

小屋裏エアコンとセットで考える「床下エアコン」の初期費用とランニングコスト

床下エアコンを設置する場合は、小屋裏エアコンとセットで考えます。家全体をカバーするため、本体2台で30万円前後はかかるでしょう。さらに、床下と小屋裏への設置費用(意匠も含む)で10万円前後。もちろん詳細な金額は依頼する会社によりますが、

おおよそ初期投資で40万円ほど。

そして、ランニングコストは1台のエアコンを24時間つけっぱなしにしますので、家の性能や大きさ、環境によって異なりますが、1万円台後半~数万円といったところですね。

工務店探しが大変!?「階間エアコン」の初期費用とランニングコスト

階間エアコンは、使用する本体は1台なので、10~15万円。専用のファンの設置や断熱工事で20万円ほどかかります。ということで、

初期投資は30~35万円くらいです。

ランニングコストは床下エアコンと同様です。ですが、階間エアコンについては、まだまだ施工してくれる工務店が少ないのがネックです。

機種の性能による「全館空調」の初期費用とランニングコスト

全館空調はシステム全体とすべての部屋への配管が必要になり、それが諸々含めて

100~200万円くらいかかります。

一番安くできたとしても、ほかの空調よりも初期投資は高額ですね。

ですが、ランニングコストは逆に1万円台~なので、ほかのエアコンとあまり差がありません。春や秋の過ごしやすい時期は、システム自体を止めることもできるので、ランニングコストの不安は思ったよりもないかもしれませんね。

もちろん機種によって性能が異なり、ひと昔前は全館空調と言えば高額でした。ところが、いまは慎重に機種選びをすれば、ランニングコストは普通のエアコンと同じくらいと考えていいでしょう。

エアコンを選ぶ前に、知っておきたい家の性能のお話

ここまでエアコンの効果と費用について、お話してきました。実はここまでのお話は、「家の性能」が高気密高断熱住宅の基準を満たしていることが前提。裏を返せば

「家の性能が悪ければ、どんなエアコンを選んでも一緒!」

ということなんです。

つまり、家全体を過ごしやすい室温にできて、なおかつコストパフォーマンスに優れたエアコンの活用には、高気密高断熱住宅を建てることが大前提にあります。ここで高気密・高断熱住宅のおさらいをしておきましょう。

まず、気密性について。

気密性の高い、低いとは、外部との隙間が少ないか、多いか

ということです。ここで言う隙間とは、本来、空いていてはいけない場所に空いている無駄な隙間のこと。ですので、窓やドアなどは除外されます。

隙間が少なければ、エアコンの暖気や冷気が外へ逃げにくくなり、外からの熱気や冷気が入って来にくくなります。つまり、気密性が高いとエアコンの効果が高まる、ということになるんです。

次に断熱性について。断熱性とは、文字通り

“熱を断つ性能”

です。断熱性は家の外壁や屋根の内側に断熱材を施工したり、窓を複層ガラスにしたりして高めるものです。気密性の場合は空気の出入りを少なくしてエアコンの効果を高めますが、断熱性の場合は外からの熱気・冷気を中に“伝えない”&中の快適な温度を外に“逃さない”ようにして快適性を保ちます。

断熱材については種類が多いので、ここでの説明は割愛しますが、ポイントは断熱材の性能ではなく、その断熱材に合わせてしっかりと施工がなされるかどうか。

高気密・高断熱の考え方は比較的新しいものなので、施工業者によってリテラシー(理解)に差があります。残念ながら、高断熱住宅を謳っていながら、断熱材の特性を理解できていない施工で断熱効果が得られない、というハウスメーカーや工務店もあります。

気密断熱がしっかりしている工務店の見分け方

そんなときの見分け方は、まず真夏や真冬に見学に行くこと。実際に体感してみてください。エアコンがゴーゴーうなりをあげていたら、ちょっとやばいです(笑)

「全館空調」や「エアコン1台で快適に」と掲げているハウスメーカーや工務店もあります。こういう会社は気密・断熱の基準をクリアしていて、その先の話をしているということなので、当たりの可能性が高い。

もちろん、そうは言っても当たりはずれはありますので、担当者にあれこれ質問をしてみてください。説明がしどろもどろならば、その会社で家を建てるのはちょっとキケンですね。

家の性能は、見た目ではわからない部分です。設計する側の知識や、施工者の腕とリテラシーが大きく関わってきます。マズいハウスメーカー・工務店を選ばないように、家を建てる側も正しい知識を備えておきましょう。

いかがでしたか?

現代エアコンの基礎知識と気密・断熱のお話でした。

どの方式の空調にもメリットもデメリットもありますが、あなたにとって最適な空調が見つかりますように!

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